お薦めの一冊は、イギリスの童話作家であり、短編小説を多く書いたロバート・ウェストールの「ブラッカムの爆撃機」(金原瑞人訳 岩波書店刊)。原題は「BLACKHAM’S WIMPY」(ブラッカムのウィンピー)ウィンピーはイギリスの爆撃機ウェリントンの愛称である。爆撃機という閉鎖された空間の中に閉じ込められている人達の苦悩や心の動きが淡々と語られている小説で、決して戦争を礼賛している文学ではない。本は「ブラッカムの爆撃機」他2編の短編小説が収録されているが、特筆すべきは、さらに23ページにもおよぶ宮崎 駿氏のカラー書下ろしマンガが収録されている事である。

 

ウェリントン爆撃機の内部構造が書かれている「読書の手引き」。登場人物の航空機内での配置も書かれていて、見ながら読むと航空機が詳しくない人でも楽しめる。また、文章を読むのが苦手という人でも、書下ろしの絵だけでも充分に楽しめ、宮崎ファンには必見の一冊である

 

イギリス空軍の爆撃機「ウェリントン」愛称ウィンピー の1/48模型。その姿、愛称からして、とても強そうには見えないのだが・・・