秋田県の山林以外の場所で、住んでいる人が少ない地域を選んで走っているような鉄道。第三セクターの秋田内陸縦貫鉄道。何とも硬派な名前だが、沿線に大きな町もなく、沿線自治体の支援無しでは存続が難しい鉄道である。鉄道ファン目線でも、これといった風景の場所がある訳でなく、車両も人気のない軽快気動車が走っていて、残念ながらその塗装もつまらない

秋田県内陸部を南北に走る秋田内陸縦貫鉄道。国鉄当時は、北の奥羽本線の鷹ノ巣から南進し阿仁合(あにあい)を経由して比立内(ひたちない)まで走る阿仁合線と、南は田沢湖線(現在の秋田新幹線)角館から北進し松葉まで走る角館線という別々の盲腸線であり、1986年(昭和61年)の第三セクター移行時も南北に分断されたままの状態で「秋田内陸縦貫鉄道」としての開業となった 八津~西明寺間 1998年(平成10年)8月

1989年(平成元年)4月に鉄建公団が工事を進めていた比立内~松葉間が開業し、秋田内陸縦貫鉄道は、全通となった 阿仁合駅 1998年(平成10年)8月

駅構内のローカル線全開の雰囲気とは裏腹に駅舎は洒落た(と言うか、似合わない)スタイル。ここが沿線最大の駅である

沿線には「阿仁マタギ」という駅があるくらいマタギが観光資源になっているが、車窓は同じような山々の景色が延々と続く 松葉~羽後長戸呂間

阿仁合駅に進入するAN8800形気動車。8800は全線開通前年の1988年に新潟鐵工所で製造された気動車で、かなり老朽化が進んでいるが現在も主力機である

全線開通時に内陸線内を走る急行「もりよし」用の車両として製造されたAN8900形。「もりよし」は地元では有名な山の名前であるが、もう少し違う急行名でも良かったのでは。比立内~奥阿仁間で比立内川を渡る 1998年(平成10年)8月

存続の取り柄がない鉄道のように書いてしまったが、鉄道ファン目線で見ると魅力がないという意味であり、決して存続を否定している訳ではない。この地域は海岸線に鉄道路線が集中し、山間は完全に空白地帯となっていて、この地域を南北に縦断している縦貫鉄道の意義は大きい