ルツェルンを出発したスイス国鉄のメーターゲージ「ブリューニッヒ線」は、しばらく小さな湖の畔を走り、やがてギスビルの駅に到着する。ギスビルには機関庫があり、この先のブリューニッヒ峠を越えるための補機が常駐している。そして、この駅の構内を出るとすぐ100パーミルを越えるリッゲンバッハ式ラック機構が始まり、ブリューニッヒ峠へと登り続ける。

ギスビル駅 1993.10

 

ギスビル駅の端からいきなり急勾配が始まる

 

駅構内に停車するDeh120 007-0 1993.10

このDeh120 007-0(旧車番Deh4/6 907)は、1941年からここで活躍している生え抜きである。形式Dehを日本風にするとラック式電動荷物車とでもなるだろうか。スイスでは電動荷物車が電気機関車代わりに活躍している事が多かった(とは言っても、電動荷物車に荷物を乗せている光景もあまり見た事がない)。6軸の車輪の内、前後の4軸が動力台車で、中央の2軸はラックギア装置を乗せた台車で車輪は駆動しない。それで4/6という様に表現する。

かわいい機関庫に並ぶ新型HGe4/4Ⅱと旧型Deh4/6。レールがダブルスリップ、クロッシングと続く

機関庫の隣には保線用車両Thm986の庫が別にあり、かわいいターンテーブルが作られている。Thmはラック機能を備えたトラクターという意味。