当初、林産資源輸送のために計画された大井川鉄道本線であったが、電力会社各社が大井川水系の電源開発に目を付け、次々とダム建設を進めた事で、その利用目的は一変した。特に千頭より先の井川線沿線には、大井川ダム、長島ダム、井川ダムと大型ダムが続き、さらに上流の南アルプス源流部に畑薙第2ダム、畑薙第1ダム等々、大井川水系には20以上のダムがひしめき、これらのダム工事がどれだけ大井川鉄道に恩恵を与えたかは、計り知れない

千頭駅に停車中のモハ310の「急行すまた」。モハ310は当時大井川鉄道の筆頭株主であった名古屋鉄道が所有していたモ3805を購入したもの。駅の側線にはクラウス15号機や2109(B6)が展示してあった。2109は現在、日本工業大学にて動態保存されている

1921年のオーレンシュタイン・コッペル製で、1922年に一畑軽便鉄道が導入した機関車。一畑より七尾セメントに移動して七尾セメント1号機となり、その後廃車となっていたが、この年、見事に動態復活を果たしていた。ただ、撮影時は伊予鉄道の社紋が入り全く似ていないが「坊ちゃん列車」風に仕立てられ、千頭駅構内で試運転中であった。翌年、中村雅俊主演の映画「坊ちゃん」が公開されているので、その撮影用と思われる。現在は、当然の事ながら元に戻され、新金谷駅前プラザロコ内に静態保存中である

静態保存展示されていたクラウス15号機(国鉄10形)。現在は、北海道の留萌本線恵比島駅近くのほたる館にて静態保存中。同地の明治鉱業昭和鉱業所専用鉄道で1969年まで働いていたので、里帰りというところか

千頭駅の井川線ヤード。Cワフ2の連結器が、井川線標準の高さ640mm用と、本線の高さ880mm用と両方装備されているのが分る。奥にはボンネットがオフセットされたDD100形が停車中

DB3は、1936年加藤製作所製8.3t。最高速度20kmだったが、ジャンパ栓を装備して客車を牽いていた

終点井川駅にて待機中