国鉄8700形8722号機は、釧路市内の鉄工会社、株式会社釧路製作所の本社敷地内に静態保存されている

国鉄8700形は、「テンホイラー」と呼ばれる4-6-0(2C)という車輪配置のSLで、1911年(明治44年)、イギリスのノース・ブリティッシュ社で製造し輸入した12輌(8700~8711)と、1912年(明治45年)に、この機関車をコピーして汽車製造会社が造った18輌(8712~8729)を合わせた30輌が、同形式として形式名称を付けられている 2020年(令和2年)6月

8722はコピーされた国産機とはいえ、明治時代にコピーした技術力は高い。現在、保存機にはクリスマスの飾りが付けられたままで(多分、一年中付いたまま)キャブ内に取り残されたサンタクロースが悲しそうであった。近代化産業遺産として登録されている事を考えると、何とかならないのでしょうか?釧路製作所様

1921年(大正11年)から1924年にかけて、当初から飽和式で不評だったボイラー・シリンダー類を加熱式に改造している。東海道本線、東北本線等主幹線で使用された後、地方の支線にも配置されたが、1948年(昭和23年)から1951年(昭和26年)までには全ての車両が廃車となってしまった

全車廃止となった8700の内、8721は1952年(昭和27年)に雄別炭礦鉄道に、8722が1953年(昭和28年)に北海道拓殖鉄道へと、それぞれ払い下げとなった。8722はその後、雄別炭礦鉄道に譲渡され、期しくも2輌は同じ鉄道で働く事になった。古典機の雰囲気が漂うキャブ周辺

雄別炭礦鉄道とは、釧路駅と阿寒町の雄別炭山駅を結んでいた文字通り炭鉱鉄道である。サンドドームは加熱式に改造された時代の姿に戻されているので、雄別炭礦鉄道時代とは位置が異なる

1969年(昭和44年)の雄別炭鉱閉山により雄別炭礦鉄道はその存在意義を失い、翌年には廃止となった。8722は1966年(昭和41年)に、8721は1970年(昭和45年)に廃車となっている。主動輪のカウンターウェイトは三日月型

テンダーは、輸入機、国産機共に日本で製造されたが、輸入機はボギー台車の4軸構造、国産機は3軸固定台車となった。国産機が配備された北東北部の東北本線で、4軸テンダーの長さではターンテーブルに乗らなかった為と言われている

8722ご訪問の際は、必ず株式会社釧路製作所総務課の方にお申し出の上、敷地内へお入り下さい