昭和2年(1927年)に大阪毎日新聞社と東京日日新聞社主催、鉄道省公認で、「日本八景」の選定が行われ、絵葉書が発売された。一般からの投票で山岳、渓谷、瀑布、温泉、湖沼、河川、海岸、平原の8部門において候補地が選定され、現在で言う「有識者」が、「日本三景」「富士山」「人工的名勝」以外で選定したということである。日本を代表する景勝地ということだが、現在とは違う風景である

狩勝峠 平原部門という事だが、95年前の狩勝は未開の地ではなかったのか

十和田湖 奥入瀬渓流と併せて、今も多くの観光客が訪れる

華厳瀧 瀑布部門は華厳の滝

木曽川 選定に漏れた天竜川の伊那谷では東京日日新聞の不買運動が起きたそうである

上高地渓谷 渓谷部門ということで、上高地渓谷となっている。絵はがきが発売される12年前の大正4年に焼岳(やけだけ)が噴火して梓川が堰き止められ大正池が出来ている

室戸岬 海岸部門が室戸岬というのも不思議な感じ

別府温泉 温泉部門は別府。今も別府は日本第一であるが、この写真では何も分からない

温泉岳 「うんぜんだけ」と読む。雲仙普賢(ふげん)岳・国見岳・妙見(みょうけん)岳の他、付近の山々、地域の総称である

投票で1位になっても選ばれなかった景勝地もあり、現在の駅名投票などと同じように「出来レース」や「不正」が取り沙汰されたようであるが、いずれにしても、国民が観光に興味を持ち出した時期であり、このイベントは国民の関心を大いに集めたそうである