名古屋から近鉄かJRで伊勢方面に進むと、長良川と揖斐(いび)川の合流地点に桑名という駅がある。あの「その手はくわなの焼き蛤はまぐり」で有名な桑名である。その桑名駅の端(駅名は西桑名)から日本では3か所のみとなったナローゲージ(レール幅762mm、因みにJR在来線は1067mm)の鉄道「三岐(さんぎ)鉄道北勢線」が出ていて、員弁(いなべ)川に沿って上流の町、阿下喜(あげき)まで約20kmを1時間で結んでいる。

連接台車を履いて3輌固定編成の北勢線200系(前3輌)。現在は、北勢線開業100周年記念の旧北勢線カラーに塗られていて、電装解除はされたものの往時の貫録を残していて堂々たる姿である(楚原~麻生田)

近鉄から三岐鉄道に経営が引き継がれ、車体の色も三岐鉄道色になったが、ナローゲージの車輛には不思議と似合うカラーリングである。乗務員と比較すると車体の小ささが実感出来る(東員駅)

一方、阿下喜から員弁川を渡った対岸には、北勢線と並走するように近鉄富田駅(貨物はJR富田駅)から西藤原駅までを三岐鉄道三岐線が走っている。こちらは1067mmの狭軌で、東藤原にある太平洋セメントの貨物輸送を業務の柱としている。三岐線は全て西武鉄道の車輛を使用しているが、北勢線と比べるとカラーリングはイマイチである。左に停車している西武塗装の方が、遥かに品がある(三岐線丹生川)

阿下喜駅から坂を登って市街地に入りしばらく歩くと、お世辞にも活気があると言えない街中に、何とも込み合っている一角がある。店の名は、上木(あげき)食堂。食事が出来る場所を探すのにも事欠く小さな町では、異色の存在だ。食事の味はもちろん、「努力とセンス」が感じられる一店である。