北海道における鉄道発祥の地と言えば、小樽の手宮である。小樽港に近い手宮には機関庫が造られ、手宮を起点として幌内鉄道が1880年(明治13年)に札幌まで開通し、後に「国鉄7100形」と呼ばれることになるアメリカ・ポーター社製の「弁慶」「義経」が活躍していた
この広大な手宮機関区の敷地跡に「小樽市総合博物館」(旧・国鉄の「北海道鉄道記念館」)が開設されている。「旧手宮鉄道施設」として国指定の重要文化財となっていて、およそ50輌の車両が屋外展示されている 2020年(令和2年)6月
曲線を優美に描き、内部に白く漆喰が塗られた機関庫は、1885年(明治18年)竣工の「機関車庫三号」。現存する最古の機関庫である
下路式転車台を挟んで建つのは「機関車庫一号」。右2台分の車庫は1908年(明治41年)竣工で、左3台分は解体されていたものを1996年(平成8年)に復元したものである。下路式転車台は1919年(大正11年)製で、手宮機関区で使用していたもの
博物館にはもう一基、小樽築港機関区にあったものを移築した「上路式転車台」がある。日本最大の蒸気機関車C62を方向転換させるため20mの長さがある
「義経」「弁慶」が輸入されてから5年後の1885年(明治18年)、同形機がアメリカから追加輸入され、「幌内鉄道6号機」となった。小樽市総合博物館で室内展示されている「しずか」である。現在、「義経」は京都鉄道博物館で、そして「弁慶」は大宮の鉄道博物館で保存展示されているが、幌内鉄道が輸入した同型機8輌の内、残っているのはこの3輌で、残念ながら他の5輌は廃車解体および不明となっている