神奈川県の小田原駅に乗り入れている鉄道路線と聞かれると、地理の詳しい人でも、東海道本線、東海道新幹線、小田急線、箱根登山鉄道で終わってしまい、忘れられてしまう路線がある。伊豆箱根鉄道大雄山(だいゆうざん)線である。伊豆箱根鉄道と言えば三島から修善寺まで走っている駿豆線であり、こちらは興味のない方にも知られているが、小田原から10㎞もない大雄山線は忘れられた存在である

2008年(平成20年)6月の撮影。駅の周りはビルが建ち様変わりしたが、駅舎は今も同じ佇まいである

大雄山駅には、大きな寺院があるのだろうと以前から想像はしていたが、訪れる機会もなかった。河津の栖足寺(せいそくじ)の帰路、時間が出来たので立ち寄ってみることにした。駅は寺院からかなり離れていてバスの移動が必要となる開山600年といわれる寺院の正式山号は「曹洞宗大雄山最乗寺」。駅から山をどんどん上っていくと樹齢500年以上の杉林がうっそうと茂る森に入り、しばらく進むと突然広々とした寺院に着く 2020年(令和2年)2月

境内の奥に進むと、再びうっそうとした杉林で、出羽の羽黒山を思わせる。杉の木の太さも半端でないが、階段の多さも半端ではない。写真は多宝塔

1897年(明治30年)に建立された「結界門」の両脇には狛犬ではなく天狗像が立つ。最乗寺は天狗伝説があるという

右手には立派な大天狗

左手には、烏天狗とも言われる小天狗。インドの神様のようだ

寺の紋も天狗の団扇。天狗は寺の守護神として祀られている

まだまだ奥の院までかなりあると聞き、この階段の下でリタイア 2020年(令和2年)2月

ところで、こちらは伊豆箱根鉄道大雄山線の主、コデ165。1928年(昭和3年)の川崎車輛製で、鉄道省、相模鉄道と働き、1976年(昭和51年)に伊豆箱根鉄道に譲渡されている。1996年(平成8年)に、モハ165として使用していた車両を両運転台化改造をして工事専用車となったのが、コデ165である。2018年(平成30年)からは、誕生時の茶系色に塗装されている 2008年(平成20年)6月