2004年(平成16年)、上田交通の終点駅・別所温泉にモハ5251・5252(形式モハ5250形)を訪ねた。5251と5252は、廃車となった1986年(昭和61年)以来、駅の留置線に置かれたままであったので、さぞかし傷んでいるのであろうと思っていると、直近に化粧直しをしたばかりと見えて、予想外に綺麗だった。しかし、帰路に立ち寄った上田交通中塩田駅に留置されていた5253号機の荒れ具合は酷く、車体側面が大きく傾き、翌日解体と言われてもおかしくない状態であった
2005年(平成17年)、長野計器株式会社という会社が、自社の東証上場記念にモハ5253を引き取り整備したというニュースが伝わった。5251か5252の間違いではないかと思いつつ、2006年(平成18年)11月に同社を訪問した
会社の正門に展示されていたのは、間違いなくあの崩れ落ちそうだったモハ5253であった。中塩田駅に留置された5253の惨憺たる状況を知っていた人達は皆涙したに違いないと思えるほど綺麗に整備されていた 2006年11月
車内も綺麗に整備されて「長野計器丸窓電車資料館」として公開されている
1927年(昭和2年)に日本車輌で製造されたモハ5250形の3輌は、当時流行していた楕円形の戸袋窓で登場。この窓が「丸窓電車」と呼ばれる所以で、羽後交通デハ3、名鉄モ510等がほぼ同年代の丸窓現存車である
お椀型の通風機が目を引く。上田丸子電鉄の屋根上機器は独特のブルーグレイに塗装されていた
抵抗器、コンプレッサーが並ぶ床下。トラスバーが年代を感じさせる
台車は、日車Dー16。軸箱に日本車輌の社紋が残る
それにしても、設置場所がすごい 2006年11月
同じ日に、別所温泉駅で撮った5251と5252。運転席の窓は割られ、早期の保存が求められる状態であった
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