山形交通高畠線の主要駅であった高畠駅は、地元で産出される「高畠石」で造られていて、なんとも個性的な風貌で現存している。高畠石は、栃木県の大谷(おおや)石を代表とする溶結凝灰岩で、当時は高畠駅のみならず付近の駅や荷物倉庫などにも石造りの建物があったそうであるが、残念ながら現存していない

現在は公園として使用されている高畠駅。ローカル私鉄の駅舎としては破格である 

公園内に展示されているモハ1。モハ1は、昭和4年、高畠線電化の際に日本車輛で製造されたデハニ1が元車で、完全に「生え抜き」であるが、その後、モハ1に改造されていて、側面にはその改造の名残がある。ただ、私鉄らしいと言えば私鉄らしいが、何の特徴もない電車だ

小さいが日本車輛の銘板

台車は、蒲原鉄道のモハ11も履いていた東洋車輛製

こちらは、同じく電化の際に川崎車輛で製造されたED1。東急のデキ3021とほぼ同型。まるで装甲車のようなフォルムだ

凸型機関車ながら、短いので床下機器なし

立派な駅舎が残っているのに、駅構内を殆ど埋めて芝生の公園にしてしまったのは何とも残念。そして、魅力的な車両があったのに「生え抜き」とは言え魅力のない車両だけが残っているというのも本当に残念である。現在は車両に屋根がかけられたのがせめてもの救いか  写真は全て2004年8月