ルツェルン駅から、スイス国鉄ブリューニッヒ線内をしばらく走った後、スタンスに向けて分岐し、エンゲルベルグまで走る鉄道がLSE(ルツェルン・スタンス・エンゲルベルグ鉄道)である。

終着駅エンゲルベルグ 1993.10

終着駅に停車しているのは、LSEのBDeh4/4。二等車が併設された電動荷物車である。洗練された都会的なデザインに似合わず、実はかなり力持ちの登山電車で、エンゲルベルグ手前のオーバーマットにあるラック区間では246パーミル※1という急勾配を物ともせず付随車2輌を押し上げている。

スイスでは、勾配区間では必ず機関車・電動車が編成の下方にくるようになっている。LSEでは、勾配区間の下方にはBDeh4/4、上側にはこの1・2等合造車のABt25が連結されていた。

1942年とかなり古いが、LSE(当時はSE)のダイヤグラム。赤い矢印の部分で線が急に折れ曲がって傾斜がゆるやかになっているのが分る。246パーミルの急登の為、いかに時間が掛かっているかを物語る。

※1 パーミル:1000分の1を1とする単位。鉄道の場合、1000mで何メートル登るかということで、246パーミルは1000mで246m登るということ